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「ねぇ、それよりさ…」
セフィの力説をあっさりと止めると、一人の女の子がそう話を切り出した。
「今から皆で遊び行くんだけど、セフィも行かない?」
「あー…わりぃ。折角だけど行くとこあるからさ」
いつもなら直ぐに遊びに出掛ける所だが、今日断ったのには理由があった。
セフィには一刻も早く行きたいところが在ったのだ。
「何だよ、また例の海賊グッズ集めか?」
「まぁそんなとこ。またね」
友人等と別れると、車が空を飛び交う中、見慣れた細道を歩いて行く。
────ワンッ!
機械化が進むにつれ、動物もロボットのものが増え出していた。
そのため飼われるペットはロボットばかり。
要するに命を持った動物たちは数少なくなっていたのだ。
久し振りに見る本物の犬に釣られ、思わず足を止めるセフィ。
「久々に見たなぁ…可愛いー。…お前どっから来たんだー?」
目の前にしゃがみ込み犬の頭を撫でていると、彼は急に後ろを向いて歩き出した。
何度も振り向きながら歩く犬は、まるでセフィに向かってついて来い、と言っているようであった。
「…ついて来いって言うのか?」
不思議に思いつつもセフィはその犬が気になり、その後を追いかけて行くことにしたのだ。
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