始まりの扉

5/5
前へ
/141ページ
次へ
近辺の道は殆ど知っていたはずのだが、犬に着いて行った先は初めて見る場所だった。 「へぇ…こんなところが在ったんだ」 ──ワンッ!ワンッ! 辺りを見回しながら歩いていると、犬はある壁の前で停止して吠え出した。 ──ワンッ!ワンッ! 一見他の機械仕掛けの壁と変わらないのだが、犬は全く動こうとはせず、ただただ吠え続けている。 「此所に何が在るって言うんだよ……?」 訳が分からないセフィは犬の吠える先─つまり壁に触れた。 するとその瞬間、壁が急に光り出したのだ。 「なっ…なに!?」 あまりの眩しさで彼女は目を瞑る。 ───目を開けた時には、今までなかったはずの木製の扉がそこには在った。 「なに…これ……」 如何にも怪しい扉。 だが彼女はこういうことに関してとても好奇心旺盛だ。 怪しい。 でも気になる。 そして面白そう、行ってみよう…! そう心に決めると扉へと手を掛けた。 ギィ── そして不気味な音と共に扉を開き、彼女は中へと進んで行った。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

582人が本棚に入れています
本棚に追加