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着いた先は、今まで本に載っていた写真でしか見た事のなかった船の上。
目の前にはどこまでも続く真っ青な海と空。
「嘘だろ…すっげー!!」
此所はどこなのか。
そんなことより、セフィには歓喜の声の方が早く口に出た。
何故なら彼女の暮らしていた場所から海は物凄く遠く、今まで見に行った事がなかったから。
その上、彼女が今居るのは夢にまで見ていた憧れの船上だ。
ただただセフィは海と船に見とれていたので、後ろから近付いてくる男に全く気づかなかった。
「…おい、お前誰だ?」
声に気付いて振り向くと、目付きが悪く左頬に大きな一本筋の傷のある男が立っていた。
そしてその男の手には、海賊について書かれた本でよく見た剣が握られていて、その剣先は彼女に向けていた。
「聞こえなかったのか?どっから出てきた?」
何も答えない相手に対して傷のある男は、真っ黒な短髪を掻き、眉を潜め不審そうに見つめながらもう一度問いかける。
セフィはというと、暫く呆然としてたと思ったら急に大声を出した。
「何これー!本物!?…ってことは海賊!?え、まじ!?」
「は!?だから誰なんだよ、お前!」
「うわ、本物の剣だよ!やべー!」
騒ぎ続けるセフィに嫌気がさしたのか、男は「うるせぇ」と一言言い放つと、彼女の首に剣の柄の部分でトンッと打ち、気絶させた。
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