582人が本棚に入れています
本棚に追加
次にセフィが目を開けた時、そこは冷たい床の上。
辺りは真っ暗で、いくつかのランプの灯だけで照らしている牢屋の中であった。
「う…夢?でも此所何処だ?」
状況が全く掴めないセフィは、その場で上体を起こして胡座を掻きながら首を鳴らす。
やっぱり夢だったのか。
まぁそんな上手い話があるわけない。
夢にまでみるなんて相当ハマってるな。
自嘲気味に笑いながら考えていると、そこに先程見た短髪の男が奥にあった階段から降りて来た。
「お。起きたか……?」
「…あー!夢じゃなかったのか!なぁあんた誰なの!?てか此所何処!?」
男を見つけるとセフィは彼を指を差して夢じゃなかった、と呟くと再び一気に幾つもの質問を投げ掛けた。
「あ~うるせぇ」
その男はあまりの煩さに眉を潜めて耳を抑えると、今来た方向に向かって叫ぶ。
「おーい、カイン!起きたみたいだぜー」
「あ?やっと起きたか……」
暫くするとカインと呼ばれた男がギシ、ギシという音と共にゆっくりと階段を降りてきた。
彼はセフィの目の前まで行くと、その場にしゃがんで目線を合わせる。
「よう、坊主。お前どっからこの船に潜り込んだ?」
金色で長めの髪を横で一つに束ね、青い瞳をしたその男がジッと彼女の目を見つめる。
その男は右目が見えないのか眼帯をしている。
“どっから潜り込んだ?”
頭の中で彼の言葉をリピートした時、ふとある疑問が浮かぶ。
その瞬間セフィは食い掛かるように怒鳴った。
「ちょ…待てよ!坊主って…あたしは女だ!!」
最初のコメントを投稿しよう!