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長き回廊を渡り、広間を抜け、開かずの扉の横を通り過ぎて辿り着いたのは、神々しい光と色とりどりの花に溢れた教会。
見事なまでの彫刻を施された木製の扉はひどく崩壊しており、わざわざ両手で押し開く必要もない。
微かに残る夜気に息を白く染めながら、躊躇う事なく、真っ直ぐ奥へと突き進む。
マリア像の許(もと)で、永久の眠りについた、美しき姫のリチア。僕は、彼女の棺の前に跪いて、祈った。
「リチア、夜が明けた。僕の、長い長い、一日の始まりだ。
今日もまた、亡き君と人々へ祈りを捧げ、懺悔をしよう。
どんなに時間を費やしたところで、決して赦されぬ罪だとはわかっていても。
この日々を送り続ける事こそ、僕に課せられた償い…」
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