寂寥

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 暫く暗い小道を歩いた後、ミーアは木を継ぎ合わせて出来た建物の前で立ち止まる。彼女は、何度か深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、後ろに立つ三人を一瞥した。  それから、ミーアは軋む木戸をゆっくり開けた。そして、彼女は無言のまま戸の横に立ち、ダームらに中へ入るよう伝える。その後、ベネットが軽く会釈をしながら小屋に入ると、それへ続く様にダームとザウバーも屋内に入った。  三人が家に入った後、ミーアはなるべく音をたてない様に戸を閉める。彼女は、戸がきっちり閉まったことを確認すると、その戸が外から開けられることの無い様、大きな閂で戸を閉ざした。  その後、戸から薄暗い室内へ目線を移したミーアは、ある一点を見つめて硬直する。驚いた表情を浮かべるミーアに気付いたベネットは、その目線の先を見やって悲しそうに俯いた。  彼女の目線の先には、鳥籠に入れられた小鳥と、その巣から落とされた卵が有った。無惨にも落とされた卵は、砕けた殻に覆われたまま籠の底で冷たくなっていた。冷たく横たわるそれは、濁り始めた瞳で外界を見つめ、乾き始めた皮膚は苦しみを訴えている様でもあった。
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