寂寥

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 ベネットは、顔を覆っている小さな手を退かすと、ミーアの黒い瞳を見つめた。それに気付いたミーアは強く目を瞑り、大粒の涙を流し始める。  悲しみと安堵の入り混じった涙に気付いたベネットと言えば、幼子を寝かしつけるかの様に、ミーアの背中を優しく叩き始めた。  その後、ベネットは自分が持っていたハンカチでミーアの涙を拭った。そして、ダームやザウバーには聞こえない程の小さな声で、ミーアへ寝室の場所を尋ねる。  問い掛けられたミーアは、震える手で部屋の奥に有るドアを指差した。ベネットは、ミーアが差し示したドアを軽く見やると、他の二人に目配せをして部屋を出る。
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