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ベネットとミーアが部屋を出た後、ザウバーは悔しそうに口を開く。
「ひでえ話だな」
彼が言い終わった時、ベネットらが通ったドアの前に、褐色の髪を持つ女性が現れた。女性の着る服は必要最低限の部分しか隠しておらず、ザウバーは思わずその胸元へ目線を送る。
また、女性のスカートには長いスリットが入っており、そこから肉付きの良い大腿が覗いていた。
「あら、何が酷いのかしら? 男が、より綺麗で魅力的な女に靡いてしまうのは、普通の事でしょう?」
その女性は、ザウバーを上目遣いで見つめ、艶の有る声で話した。彼女の真っ赤な瞳に見つめられたザウバーと言えば、息を止め体を強張らせてしまう。
その後、彼女は音も無く青年の背後に移動し、後方からその体を抱き締めた。その立ち位置のまま女性が囁くと、青年の体は白い靄に包まれ、その瞳孔は大きく開かれた。
「あ、そうそう。そこで馬鹿みたいに突っ立っている坊や? アンタは趣味じゃ無いから寝てなさい」
女性がそう言った時、少年の体は思い切り部屋の壁に叩き付けられた。壁に体をぶつけたダームと言えば、身動きの取れないまま情けない声を漏らす。
少年が痛みを堪えながら顔を上げた時、ザウバーと女性は忽然と姿を消していた。
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