寂寥

17/43
前へ
/269ページ
次へ
 仲間の行方を心配する二人は、夜が明ける前に目を覚ました。それから、消耗した体力を回復しようと食事を始めた。  彼らがささやかな朝食を終えた後、ミーアが申し訳なさそうに二人の居る部屋へと入ってきた。 「お早うございます」  ミーアは、二人の顔を交互に見やると、目頭を押さえながら深々と頭を下げる。 「昨晩は、お話をする前に床に就いてしまい、申し訳ございませんでした」  か細い声で話してから顔を上げ、ミーアは力の無い眼差しでベネットの顔を見つめる。 「いや、気にしないで欲しい。貴女が居なければ、私達は寒空の下で野宿をしなければならなかっただろうから」  一方、ミーアの辛そうな表情を見たベネットは、これ以上気を遣わせまいと優しく笑いかけた。 「そうそう。家の中で寝られて助かったよ。僕達は、ミーアさんにありがとうって言わなきゃ」  ベネットの話を聞いたダームは、そう話すと直ぐに柔らかな笑顔を浮かべる。
/269ページ

最初のコメントを投稿しよう!

739人が本棚に入れています
本棚に追加