寂寥

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「完全に日が暮れれば寒さは増す。ダーム、ふざけている者は放って宿泊先を探そう」  優しい声で話し掛けると、ベネットは少し離れた位置にある建物に向かって歩き始めた。彼女の行動を見た少年は勝ち誇った笑みを浮かべ、ザウバーへ見せ付ける様にベネットの腕に掴まる。  腕を掴まれたベネットと言えば、少年の顔を横目で見やり、歩く速度を緩めた。一方、そんな二人の様子を見たザウバーは、口から思いきり息を吐き出す。それから、彼は近くに在る建物を見、静かに二人の後を追いかけた。  目的地へ着く間に、ダームは何度かザウバーの居る方を振り返った。この間、少年は青年との距離が離れていることを知っても止まる事は無かった。  数分歩いた後、町の入口に到着したダームとベネットは、町に入ることなく青年が到着するのを待った。その場所には、町名が書かれた看板が有り、そこに書かれた文字は雨風に曝されたせいか薄くなっている。  また、木造りの看板は所々が欠けており、それが町の閑寂さを助長している様でもあった。
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