寂寥

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 ザウバーが到着した時、ダームは近くに設置された木製の看板に気付く。少年は、腰を軽く曲げて書かれた文字を黙読すると、ベネットの顔を見つめながら誇らしげに口を開いた。 「オーマの町、だって」  到着したばかりのザウバーは、町名の書かれた看板を少年の肩越しに覗き込む。彼は、看板に町の名前しか書かれていない事を確認すると、大きく息を吐いて町の中を眺めた。  青年が町の中を眺めると、そこには人だけでなく動物の姿さえ無かった。また、白い木の柵で囲まれた町には、数える程にしか家が見当たらない。その上、気候のせいか草花は殆ど生えておらず、ちらほらと見える樹木には枯れ葉すら残っていなかった。 「なんつーか、活気のない町だな。時間的なものもあるだろうが、人の気配が全くねえ」  町を眺めたザウバーは、寂しそうに言葉を発する。彼は、細く息を吐き出すと、片目を瞑り首を軽く傾けた。 「だね。宿がどこに在るのかを聞こうにも、誰も居ないんじゃ聞きようがないし」  青年の話を聞いたダームは、辺りを見回し小さく頬を膨らませた。 「そうだな。とは言え、他に集落が在るか分からない。町の中を探してみよう」  ベネットは、そう言って二人に目配せをし、町の中へと歩みを進めた。
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