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その後、三人は寒さに耐えながら町の中を進み、広場らしき場所に到着する。しかし、そこに至るまで人の姿は無く、ダームはつまらなそうに空を見上げた。
そうして空が暗くなり始めた頃、ザウバーは道の先に小さな人影を見つける。
「あそこに人が居るな。ひとまず、話を聞いてみるか」
言いながら、ザウバーは初めて見つけた人物の方へ駆け寄った。そんな彼の行動に気付いた仲間は、小走りをしながら青年の後を追い掛けていく。
程なくして目的とする人物の後ろに到着したザウバーは、相手の小さな肩を掴んで声を掛けた。一方、いきなり肩を掴まれたれた者と言えば、何かに怯えている様子で青年の方を振り返る。
「何の用でしょう?」
振り返った女性は、そう返すと生気が失われた瞳でザウバーを見つめる。この時、彼女の声は消え入りそうな程か細く掠れていた。その上、彼女の顔色は青白く、服の隅間から覗く肌は透き通るように白かった。また、その身長はダームより低く、余分な贅肉は殆ど付いていない。
ザウバーの後を追ってきたベネットは、女性の顔が青ざめていることに気付くと、直ぐに二人の間に割って入る。
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