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「恩にきる。私の名はベネット。差し支えが無ければ、貴女の名前を教えて欲しい」
ベネットは、言いながら女性の目を見つめて微笑する。一方、ベネットの話を聞いた女性は、気持ちを落ち着ける為に深呼吸をした。
「私の名前は、ミーアといいます」
そう言うと、ミーアはベネットの目を見つめ返した。
「あの……陽も暮れたことですし、宜しければ私の家にいらっしゃいませんか? 小さな家ですが、立ち話をするよりは大分良いと思います」
そう話すと、ミーアは不安そうに三人の顔を見つめる。
「貴女がそうおっしゃるのなら、私達は御言葉に甘えさせて頂くまでです。いや、寧ろ礼を言わねばならない位です」
ベネットは、ミーアを安心させる為に優しく微笑み掛けると、小さく頭を下げた。すると、ミーアは多少ではあるが頬を赤くし、ベネットの顔を涙で腫れた目で見つめる。
「それでは、私の後に付いて来て下さい」
ミーアは、そう言うと軽く頭を下げ、夕陽が沈んだ方向に向かって歩き始めた。
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