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隆が死んだのは、二年生になる前の春休みのことだった。
夜になって姿が見えなくなったことを心配した、隆の母親と僕の両親が探しに出ていて、父が首を吊って息絶えている隆を発見したのだった。
隆は小学校の桜の樹の太い枝にヒモをかけて、死んでいたらしい。
知らせを聞いた隆の母親は気を失い、そのまま数日間目を醒ますことは無かった。
そのため、僕達家族が隆の親戚とともに中心になって葬式をあげた。
元々親戚も少なかったので寂しい葬式だった。
葬式が終わるまで僕は、隆が死んだことが信じられず、大人達が忙しく動き回っているのを、他人事のように見ていた。
それでも火葬場で荼毘に伏され、軽石のような骨だけになってしまった隆をみたときに、本当に死んだことを認識できた。
何故隆は死ななければならなかったのか。僕はどうして気付いてあげられなかったのか。
骨を骨壺に納める手伝いをしながら、溢れてくる涙を拭うこともできずに嗚咽した。
隆の体中に、無数の日にちの経ったアザや傷があったということを、父と母が話ているのを聞いたのは、初七日が終わったあとだった。
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