二人

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隆の様子がおかしかったことや、遺体の体のアザ、美代子の友達の話。 隆はイジメを苦にして自殺した。 誰にでも優しかった隆がなぜそんな目に遭わなければならなかったのか。 ショックで頭の奥に鈍いしびれを感じながらも、涙目になってうつむいたままの美代子の手を引き、家まで帰った。 次の日の昼休み、僕は美代子の同級生の兄、木元実をゴミ捨て場に呼び出した。 そして、隆がイジメられていたということについて教え欲しいと、実に尋ねた。 実は最初は、そんなこと俺は何も知らない。と言っていたが、僕の真剣な様子に気づき隆に何があったのか話てくれた。 小学校を卒業し、中学校に入学して間もなく事件は起こった。 隆のクラスに山本宏という生徒がいた。彼は生まれつき体が弱く、体育の授業はいつも見学していた。 大人の社会もそうだが、その年頃の男の子には残酷なところがあるもので、他人をイジメることによって、自分の優位性を保とうとする者がいる。 山本宏は、複数の生徒の標的になりイジメられるようになっていった。 クラスの生徒達は、最初は気づいていなかったので当然イジメを止めることはしなかったが、やがて皆が気づき始めた時も誰一人止めようとしなかった。隆を除いて。 当然のように、宏をイジメていた生徒達の標的は隆になっていった。 イジメの内容には激しい暴行や、執拗な嫌がらせ、そして性的なものも含まれていたらしい。 自分を懸命に育ててくれている母や、幼い妹に心配をかけさせまいと、必死で耐えていた思春期の少年の心は少しずつ、壊れていき、逃げ場を失っていった。 自尊心と、痛みや恐怖の間に挟まれた彼が最後にたどった細い光が、死という暗闇への入り口だったのである。
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