二人

9/9
前へ
/12ページ
次へ
全てを話終えた木元実は、涙目になったままうつむいていた。 まさか隆が自殺するなんて想像もしなかっただろう。 いじめを知りながらも黙って見過ごしていた自分を悔やんでいる。そんな姿を見ていると始めは、事情を知りながら何故いじめを止めさせようとしなかったのかと、話を聞きながら腹の底が熱くなっていたがそれも冷めてしまった。 自分の身を守るために、見て見ぬ振りをするしかなかったのだと、自分に言い聞かせた。 隆をいじめていた者の名前を聞き出すと、僕は木元実をその場に残して教室に戻った。 残りの授業の内容はほとんど覚えていなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加