*失った笑顔*

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よほどびっくりしたのだろう。 森泉は微動だにしない。 私は呆然としている彼女の手からブチ・・・いや、ノアールを抱き上げる。 「この子、家の子なの。洗ってあげてるときに逃げちゃって。」 私が言っても森泉はぴくりとも動かない。 「それはいいとして、いいね。改名してあげようかしら?」 まだ森泉は動かない。 私の顔を見たまま壊れたロボットみたいに停止している。 多分、どうせ答えてくれないだろう。 この子は私をいじめているんだ。 答えるわけがない。 分かりきったことなのに、なんで私は森泉に話し掛けたのだろう? そして諦めて帰ろうとした矢先・・・ 森泉の唇が薄く開き・・・ 「今の名前、なんていうの?」 以外だ。 おもわず目を見開き、まじまじと彼女を見つめた。 やっぱりこの子は他のやつらとは何かが違う・・・。 もっとこの子のことが知りたいな・・・。 そして私は答えた。 何の躊躇もなく、飼い猫の名を。
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