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「アイツ!!」
斉藤の声が響いた。
でも私は素知らぬ顔で読書を続ける。
少しの間があって別の声が私の耳に届いた。
「あーアイツかぁ。分かる、分かる。無表情だしぃ、大人ぶってて嫌ぁ。」
東里緒菜(あずま りおな)の声・・・かな?
そしてまた別の声で
「すんごく美人だよねぇ。なんかモテますオーラが出てて腹立つ!!」
今のは多分酒井麻美(さかい まみ)。
てゆうか、私のことか?
美人ではないとしても、無表情は揺るぎない事実だし。
そんなことを考えていると、視界の端に人影が写りこむ。
「おはよう。雪音ちゃん。」
ゆっくりと顔を上げると、意志の強そうな瞳と目が合った。
土門明日香(どもん あすか)だった。
嬉しそうにものを話すこの子も実はいじめられっこ。
私は明日香と他愛のない話しをしながら、視界の端でこっちを見ている女の子のことを思い出していた。
あの子の名前は
森泉優里(もりいずみ ゆうり)。
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