☆いじめっこといじめられっこ★

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「アイツ!!」 斉藤の声が響いた。 でも私は素知らぬ顔で読書を続ける。 少しの間があって別の声が私の耳に届いた。 「あーアイツかぁ。分かる、分かる。無表情だしぃ、大人ぶってて嫌ぁ。」 東里緒菜(あずま りおな)の声・・・かな? そしてまた別の声で 「すんごく美人だよねぇ。なんかモテますオーラが出てて腹立つ!!」 今のは多分酒井麻美(さかい まみ)。 てゆうか、私のことか? 美人ではないとしても、無表情は揺るぎない事実だし。 そんなことを考えていると、視界の端に人影が写りこむ。 「おはよう。雪音ちゃん。」 ゆっくりと顔を上げると、意志の強そうな瞳と目が合った。 土門明日香(どもん あすか)だった。 嬉しそうにものを話すこの子も実はいじめられっこ。 私は明日香と他愛のない話しをしながら、視界の端でこっちを見ている女の子のことを思い出していた。 あの子の名前は 森泉優里(もりいずみ ゆうり)。
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