EP.1 鼓動

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ガルバンヌ城、王族区画。 限られた一族の者しか踏み入れることの出来ない、絶対領域の一室でシェイス・ルミアは目を覚ました。 「また、なの?」 純白に包まれたベッドから身を起こし、右腕を確認する。 カーテンレースの隙間から漏れる月明かりに、渦巻状の刻印が照らし出された。 「今朝、清めの儀を終えたばかりなのに……」 手を伸ばし、棚の上に置いていた三日月形のイヤリングを付ける。 小さな宝石が嵌められたそれは、月光に反射してエメラルドに輝いた。 「目覚めたか」 シェイスの耳に、聞き馴染みのある声が聞こえてくる。 「クルス、場所は?」 「城内の地下、北西部から強い力を感じる」 「その位置だと……宝物庫付近かしら」 わずかに残る眠気を振り払い、頭を巡らせる。 「ああ、その通りだ」 短く返答するクルス。 まるで唸るような声は、大型の(ウルフ)を彷彿とさせる。 「厳重な警備態勢を敷いてるはずなのに……ただの盗人ではなさそうね」 シェイスは輝光石(きこうせき)を幾つか掴むと、真っ直ぐに扉の方へと向かっていった。
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