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「そういうことは先に言って欲しいわね。
あいつらの弱点は?」
「一番効くのは光術だが、支配対象が人間なら火術でも対処は可能だ。
輝光石は何個持ってきている?」
四足に態勢を変えて飛びかかるシキを避け、シェイスは反対側へと駆け出した。
「さっき使って残りは四個。
この先の廊下を照らさないといけないから、実質は三個ね。
これでもいけそうかしら?」
「あの数が相手では厳しいな。
私の力を上乗せするにしても、その数では火力不足だ。
焼き切るのは難しいだろう」
後方へと目を向けると、雪崩のように押し寄せるシキの中をかき分け、巨大な鉄球が転がってきていた。
「ねえ、あれも同じ系列なの!?」
「ベースは人間だろうが……シキ自体の霊力が強すぎるのだろうな。
収まり切らない力が身体を異常に膨張させているらしい。
このままだと追い付かれるな」
「じゃあもう、吹っ飛ばすしかないわね!」
輝光石を前方へと投げ、シェイスは身体を反転させる。
巨大シキは目前にまで迫っていた。
「武器転換、クルスレーシュ!」
三日月型のイヤリングが、一瞬にして刀へと変化する。
「八風刃、烈風!」
シェイスが刀を真横に薙ぐと、強烈な風が吹き荒れる。
巨大シキの身体は地面を離れ、天井を貫通するとそのまま彼方へと消えていった。
「あなた達も消えなさい、八風刃・小夜嵐!」
刀が斜めに切り上げられると同時に、シキ達の身体が浮かび上がり、一点へと引き寄せられていく。
穴の空いた天井の位置まで引き寄せられたシキ達は、次々に外へと放り出されていった。
静寂を取り戻した廊下で、シェイスは一息つく。
「これで脅威は去ったわね」
「いや……まだだぜ。よく見てみろ」
クルスの言葉通り、再び白い泡が吹き出している。
「門が開き続けてる限り、召喚は継続される。
それに、次に出てくるのがシキとも限らない。
これ以上はただの消耗戦になるだろう」
「……どうすれば良いの?」
「門を開いた奴に、再び閉じさせるしか方法がない。
おそらく宝物庫付近にいる者だろう」
クルスが言葉を切った途端、城内に警鐘が響き渡る。
「急いだ方が良さそうね!」
シェイスは刀を握りしめると、再び駆け出した。
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