EP.1 鼓動

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「そういうことは先に言って欲しいわね。 あいつらの弱点は?」 「一番効くのは光術だが、支配対象が人間なら火術でも対処は可能だ。 輝光石は何個持ってきている?」 四足に態勢を変えて飛びかかるシキを避け、シェイスは反対側へと駆け出した。 「さっき使って残りは四個。 この先の廊下を照らさないといけないから、実質は三個ね。 これでもいけそうかしら?」 「あの数が相手では厳しいな。 私の力を上乗せするにしても、その数では火力不足だ。 焼き切るのは難しいだろう」 後方へと目を向けると、雪崩(なだれ)のように押し寄せるシキの中をかき分け、巨大な鉄球が転がってきていた。 「ねえ、あれも同じ系列なの!?」 「ベースは人間だろうが……シキ自体の霊力が強すぎるのだろうな。 収まり切らない力が身体を異常に膨張させているらしい。 このままだと追い付かれるな」 「じゃあもう、吹っ飛ばすしかないわね!」 輝光石を前方へと投げ、シェイスは身体を反転させる。 巨大シキは目前にまで迫っていた。 「武器転換(ウェポンコンバート)、クルスレーシュ!」 三日月型のイヤリングが、一瞬にして刀へと変化する。 「八風刃(はちふうじん)、烈風!」 シェイスが刀を真横に薙ぐと、強烈な風が吹き荒れる。 巨大シキの身体は地面を離れ、天井を貫通するとそのまま彼方へと消えていった。 「あなた達も消えなさい、八風刃・小夜嵐(さよあらし)!」 刀が斜めに切り上げられると同時に、シキ達の身体が浮かび上がり、一点へと引き寄せられていく。 穴の空いた天井の位置まで引き寄せられたシキ達は、次々に外へと放り出されていった。 静寂を取り戻した廊下で、シェイスは一息つく。 「これで脅威は去ったわね」 「いや……まだだぜ。よく見てみろ」 クルスの言葉通り、再び白い泡が吹き出している。 「門が開き続けてる限り、召喚は継続される。 それに、次に出てくるのがシキとも限らない。 これ以上はただの消耗戦になるだろう」 「……どうすれば良いの?」 「門を開いた奴に、再び閉じさせるしか方法がない。 おそらく宝物庫付近にいる者だろう」 クルスが言葉を切った途端、城内に警鐘が響き渡る。 「急いだ方が良さそうね!」 シェイスは刀を握りしめると、再び駆け出した。
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