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「ようやく見つけた……」
仮面の下から発せられた男の声は、鉱石の詰まった洞窟の中で木霊する。
見上げた先には巨大な柱がそびえ立ち、その中心部は虹色に輝いていた。
「こちらがなぜ一切の反応を感知出来ないのか、理解できましたよ」
男は足元に転がった鉱石を一瞥する。
柱へ放り投げたところ、一瞬のうちに黒焦げになって跳ね返されたそれは、軽く蹴っただけで崩れてしまった。
柱には夥(おびただ)しいほどの呪文が刻まれ、異質なオーラが漂っている。
「セメオダ式の陣とは……ずいぶんと旧い。
幻の絶対防御を目に出来るとは、ありがたいですねぇ。
その上、鳴術まで付けられていては並大抵の者は手出しが出来ませんね」
男は手袋を嵌め、柱へと近づいていく。
一歩ごとに男の周りで火花が散り、その威力はどんどんと増していく。
「これが絶対防御の力……近付くことすら拒絶するわけですか」
男が腕を伸ばした瞬間、強烈な閃光が走った。
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