未来

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「別に、逃げる訳じゃねぇーからな」 「判ってるよ」 バス停まで辿り着き、 「あーあ、倉佐に持っていかれる前に、ちゃんと告っておけばよかったな」 「えっ?」 「俺、ガキの頃から好きだったのに。いつも一緒に居すぎて安心してた」 初めて聞く玲緒の告白。 「玲緒…」 「なーんてな。倉佐と仲良くな」 「うん」 「じゃ、俺、行くから」 そう言って、停まっていたバスに向かって歩き出した。 「玲緒!ごめん。でも、ありがとう」 「バーカ。じゃーな」 バスに乗り込んで席についた玲緒は、窓を開け、 「架音!俺ら、ずっと幼なじみで親友だからな」 私は玲緒に向かって、 「うん。行ってらっしゃい」 そう言うと、バスはゆっくりと動き出し、次第に見えなくなった。 最後に玲緒は、ずっと、ピースをしていた。 バスを見送っていると、 「行っちゃったな。幼なじみ君」 後ろから抱き締められ、その顔を見上げると、 「葵ちゃん!どうして、ここに居るの?」 「うん?幼なじみ君に呼び出されたから」 「玲緒に?」 先生はクスッと笑って、 「バス停まで、架音を迎えに来いって」 玲緒が先生を呼び出していた事には、気がつかなかった。
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