始まり

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(コンコン……。) 自分の部屋でくつろいでいると、窓を叩く音がした。 私が窓を勢いよく開けると、 「よっ!」 「玲緒。よっ!じゃないでしょ。何で窓から入ってくんのよ」 「いいじゃねぇーかよ」 悪びれた様子もない玲緒の家は、もちろん隣同士。 玲緒の部屋から私の部屋に来るのは、簡単な事で、ベランダの柵を超えて来ればこっちに入れる。 「あんたさ、いい加減、玄関から来なよ」 「ハァ?今更、面倒。まぁまぁ、難いこと言うなよ。ここが俺の玄関みたいなもんなんだから」 両親同士も仲がよく、玲緒が窓から入って来る事は黙認している。 「で?何の用?」 「えっ?あー、ノート見せて」 「やだ」 「えー、いいじゃん。ケチ」 (あんたは、大学で何聞いてんのよ…) 私は仕方なくノートを差し出すと、玲緒はノートを写し出した。 「写したら帰って」 「はいはい、判りましたよ。お前、最近冷たくねぇ?」 「別に普通だけど」 でも、玲緒が言ってる事は間違ってなかった。
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