Ⅶ-Ⅰ 一つ一つの言葉

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そんな空気の中、ガロードが口を開く。 「なぁラニ、そんなに無理するなよ。折角の美人が… 「黙りなさい、ガロード。」 ラニに途中で一蹴されたガロードは、やれやれとわざとらしく言い、また黙った。 この場にいる人間の中で、以前までと変貌しているのがラニだった。レイのビームに撃たれた後、命はあったが重傷で、さらに自らゼルファスによる強化手術を受けた。 身体能力はかなり上昇し、またビームに撃たれた際に失った右腕は鋼の義手に変わり、その顔も半分は金属の仮面に変わっている。今のラニは、リドやレイらへの復讐心の塊になっていた。 マキシがそのラニを一瞥し、再び虚空を見つめる横で、マイケルはネコのお面の下で様々な事を考えていた。 自分とシヴァの今後の事。 ゼルファスの事…特に目的。 「…諸君。」 八人をここに呼び集めたゼルファスが、ようやく口を開いた。面々はその瞬間に、ゼルファスへ視線を向けた。 「計画は既に最終段階に入っている。我々が勝ち残る為のな…。」 少し間を起き、 「ウィーミーの死により多少の狂いは生じたが、現在の状況に不備は全くない。白竜の聖域などなくても大差はないものだ。」 その言葉は冷たく、ウィーミーの死を駒が奪われた程度しか思っていないように見えた。 「本題だが…ここに来て新たな能力者を確保する事に成功した。幻神を持つ男、第XI騎士(エルヴァ・エクウス)… ゼルファスがそこまで言った瞬間、何かが部屋の中に乱入してきた。 それは「ヒャホッ!」「イェヤ!」などと言葉を発しながら部屋の上空を回転しながら飛び回り、そのままヴァルナが座っていた席に納まった。 ゼルファスとアガレス以外の全員の視線を浴びる中、いやに薄着のその男は顔をあげる。少し垂れ目で、髪はワカメのような黒髪天然パーマ。不思議な雰囲気を出すその男は、突然椅子の上に立ち上がり片手を掲げて口を開いた。 「オッス!オラ、アズーマ!!」
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