Ⅶ-Ⅰ 一つ一つの言葉

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二週間前、ラードック城。 ビームの雨により完全に破壊された城。組織の面々やゲーンとスロウはあっさり逃げたようだった。 あの球体が出た時点で長居は無用と判断したのだろうか。 崩れた城の周りには、動かなくなった死体たち及び、いつの間にかユノにやられたマエロトスが倒れていた。ビームに撃たれたラニの姿は軽く見渡しても見えない。 「…で、この犬は結局何だ?」 アグニは、ビームを防いだ謎の犬を指さして言う。 「さあな、神の能力者なのは間違いないだろ。」 それに対し、ガロードの事について考えていたニルティが欠伸した後に言う。 「犬がね…不思議なもんだな。」 リドは周りを見回し、全員いる事を確認しつつ言った。 「あ~…まぁとりあえず今日は寝ようぜ。話すのはまた明日だ。それに明日になればジーグのオヤジさんもアグニの銃くらい直してるだろ。」 ニルティは体を伸ばしつつ言った。誰より彼が眠そうだった。 ユノが自分の武器…メタトロンをじっと見つめる横で、 「そうだな…とりあえず城を出よう。」 アグニも納得し、一行はとりあえず城から足を一歩踏み出す。 「おっ?」 最初に言葉を出したのはレオン。後ろを見ると、城が完全に元通りになっていた。正確には先程までいたのは別空間なのだが。 「明かりもついてる…」 イアの言う通り、城にはいくつかランプによる明かりがついており、人がいると推測された。 「…これも奴らの力なのか?」 アグニが言い、面々は宿に戻り始めた。アグニらとリドは同じ宿だ。ニルティら四人も別の場所に泊まっているらしい。 「じゃ、また明日。」 手を振るニルティに、アグニは「ああ」と返して背を向け歩き出した…が。 「…」 テクテクテクテク… 「なぜ犬が着いてきている。」 アグニのすぐ横を犬が追い掛けてくる。アグニが右に寄れば犬も右に寄る。 「……また厄介な奴が増えたな…」
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