Ⅶ-Ⅰ 一つ一つの言葉

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… そして二週間後の今。 (…結局あのまま着いてきたんだったな…) アグニは休憩中の今、川辺に座り、犬についての記憶を辿り、さらにその日の夜に起こった、ある重要な出来事を再確認する。 …あいつは危険を承知で俺たちに情報を与えてくれた。敵の野望…俺たちがすべき事…。それに…あいつ…。 「ワン!」 突然犬の声が耳元で響き、アグニは考えるのを止めそちらを見る。 「どうした、ポチョムキン。」 「?」 アグニが呼んだその名前に犬は反応しない。それを聞き付けたエイナがこちらにやってきた。 「違うでしょアグニ、その子の名前は… 「タマだ!!」 エイナの言葉を途中で遮り、笑顔で大きな声で犬をそう呼んだのはレオンだった。犬の頭を掴み、かなり強く撫でている。 「馬鹿、ポチョムキンを殺す気か。それにそれは猫の名前だ。」 アグニはそんなレオンに対し呆れるように言う。 「うるせー!じゃあポチョムキンって何なんだよ!パンダみてぇな名前しやがって!」 よくわからない返答をするレオン。アグニは少し不機嫌そうな顔をして言う。 「失礼だな。昔俺の故郷で飼っていたクマの名前だ。」 「パンダと大差ねーじゃねーか!」 どちらも熊にかわらないだろうと突っ込むレオンだったが、アグニは昔を思い出すような口調顔で話し出す。 「…ポチョムキン、ある日いなくなってしまってな。その日の夕食の鍋の肉が美味しかった事を覚えている。どこに行ったんだろうな、ポチョムキン。」 「もういいわ!」
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