Ⅶ-Ⅰ 一つ一つの言葉

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よく分からない言い合いをするアグニとレオンだったが、エイナがそこに皆を集めて口を開く。 「でも、そろそろ正式な名前決めようよ。皆考えてみて。」 「「………」」 エイナの言葉に、アグニ、レオン、イア、ユノは頭を悩ませる。アグニが一番真剣なように見えた。 やがて時間が経ち、アグニ、レオン、イア、ユノの順番で名前を発表する。 「ソーマ」 「キャット!」 「……犬」 「フェネミジア伯爵っ!」 「「「「………」」」」 四人は互いの名前に呆れるような顔をした。 「お前、キャットとはなんだ。猫から離れろ、しかもそれは種族名だ。」 アグニはとりあえずレオンの名前に口を出し始める。 「ソーマよりマシだろ!何なんだよそれ!思いっきり人名じゃねーか!つーかあれだけ執着してたポチョムキンはどこに消えたんだよ!」 突っ込みの嵐を飛ばすレオン。だがアグニはさも当然という顔付きで、 「いや、このマヌケそうな顔にあの凛々しきポチョムキンは似合わん。ソーマで充分だろう。」 と言い放った。更にそこへユノが口を出す。 「えーっ!?絶対フィネミリア閣下だって!ね?そう思うよね、フェリミネリ大王?」 「お前はまず覚えてから発言しろ。」 ユノを一蹴するアグニの横でイアが 「…犬…」 と呟いたのには誰も気付かなかった。 「まったくお前ら…。エイナ、どれがいい。もちろんソーマだろうとは思うが。」 意味の分からない自信に裏付けされた態度で言うアグニ。しかしエイナからの返答は… 「…全員、論外。」 呆れ果てたようなその言葉に、四人はかなりの衝撃を受けた。 「なら…お前は何がいい、言ってみろ。」 アグニは悔しげに言い、逆にエイナはよくぞ聞いてくれたというような顔をした。ずっと言いたかったのだろう。 「ポピィMkⅡ。」 「「「「…うわぁ…」」」」 そして唯一興味なさそうな犬は、近くに生えていた花を食べ始めた。
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