Ⅶ-Ⅰ 一つ一つの言葉

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同時刻 狭間の世界にて 黒Ⅹ騎の面々がいつもの場所に集っていた。 かつてウィーミーが座っていた席にアガレスが座り、ヴァルナの席は誰かが座るのを待つように開いていた。 二週間前、レイに散々にやられたマルトは既に回復し、不機嫌そうな表情で黙って座っていた。当時はレイを憎み愚痴を言い続けていたがようやく大人しくなっきたのだった。 インドラはそのマルトを一瞬視界にとらえ、そして普段通り飄々とした態度で足で何かリズムをとっているガロードに視線を移した。ガロードは二週間の間にサングラスを新しい物に変えていた。 インドラの視線に気付いたガロードは、一体どんな意味を持つのか小さな微笑みを向けてきた。インドラは表情を変えず目を逸らし、同じく普段と変わらない静けさで目を閉じていたゼルファスを見る。 …一体何がしたいのだろうか… 戦いに生き残る事だけが目的とも思えない。 その為だけなら、「あの塔」は必要ないではないか。 (ふぅん…) ゼルファスに向いているインドラの視線に興味を持つガロード。その表情は面白い物を見ているかのような顔だ。 更に、真意の見えない顔でそのガロードを見ている男こそシヴァだった。ガロードが仲間を大切にしているように見えて、ウィーミーやヴァルナを上手く利用したり口車に乗せたりする姿を見たシヴァには、彼の微笑は信頼できそうになかった。 (…!) そのガロードが突然こちらに視線を移したのに気付き、シヴァは咄嗟に目をそらした。 (…あいつは何故俺に絡もうとする…!) シヴァは、よく話しかけてくるガロードをさけようとしていたが、いつも結局は付き合わされてしまう。どうにも苦手な相手だった。
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