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無言になった殿は、ただ呆然と二人のやり取りを見ているだけであった私をチラリと見遣ると、またな、と無言の言葉を私に掛けると、小十郎殿には何も言わぬまま部屋を出ていってしまった。何も出来ない私は、微かに震える自分の身体を必死に押さえ込んでいた。
「景綱」
不意に私に掛けられた声は、思いの外に鋭く、私には「はい」という返事を返すことが出来ず、驚きにびくりと肩を震わせて小十郎殿に視線を合わせた。怒り、そして悲しみを含んだような双方の瞳は、真っ直ぐに私を見つめている。逸らすことなんて、出来なかった。
「景綱」
今度は震えた声。小十郎殿は再び私の名前を呼ぶと、強く私を抱き締めた。私を包む優しい温もりに、一体何て言葉を返したら良いのか。混乱する思考はただ泣きそうになる。漸く私に出来たことは、小十郎殿の背中に手を回し肩口に顔を埋めて、口から出てきそうになる嗚咽を抑え込むことだけだった。
End
――――――
政宗が景綱を好きすぎて行動起こしちゃったの段←
景綱は天然故、政宗に片想いされていたことも知らずに今まで過ごしてきました。しかも今は小十郎のことが好きなのに、政宗にこんなことをされて混乱してしまったんです。
……以上、解説でした←
後から、勢いづいて書いちゃったこの話は連載の途中に入れるような話だな、と気付きました(・ω・`)笑
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