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指先―
足の先―
首に巻き付いた髪―
お気に入りのアクセ―
体に纏った物全てが冷たく嫌にツンとする。
足の先でシャリシャリと砂が舞い
頬にヒリヒリと当たる海風もだんだんと感じなくなった。
波の音も気にならない。
―どれくらい時間が流れてたのかしら―
女は体を海辺の闇に任せていた。
何も出来ずにただ海と夜の境目を見つめて
ゆうに1時間は過ぎている。
女はゆっくり夜空を仰いだ。
女の吐く白い息だけが
女が生きてると告げ夜空に溶けて行った。
―ねぇ?なぜ?
―あの時、私は間違っていたの?
―ねぇ、幸せ?
―ねぇ…
暖かい物が頬を伝った
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