15人が本棚に入れています
本棚に追加
光に包まれたキッチン
そこに女は立っていた
女の名前は幸恵。
主婦歴7年だが、ベテラン主婦とは言い難い。
(しまった💦醤油いれすぎた)
醤油で少し焦げた卵焼きを丁寧にフライパンの上で転がした。
(こうなったら、時間との勝負ね💨)
朝から鼻息荒く卵焼きに奮闘していると、
後ろからクスクスと笑う声が聞こえる。
振り向くと、歯ブラシ片手に
幸恵の夫・啓介が幸恵の奮闘ブリを覗いていた。
『今日もおいしそ❤』
なんて、泡のついた白い唇がニヤついている。
『もー!卵焼きって難しいんだから』
嘘である。
ま、小学生でも慣れれば幸恵より上手く作れるだろう。
『お弁当❤楽しみ❤』
なんて可愛く言いながら
啓介は洗面所に鼻歌交じりで消えて行った。
『もー!』
幸恵は口をへの字に曲げているが
目は笑っていた。
ふと、お世辞にも美味しそうとは言えない
奮闘1分焼き色たっぷりの卵焼きに目をやった。
(あー。やっちゃった…)
最初のコメントを投稿しよう!