最後の夜

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最後の夜

いつもの様に郵便物に目を通して麻里は愕然とした。結婚を約束してた彼は実は、妻子持ちだったと一方的な告白の手紙。おまけに麻里から借りた50万もの大金を返済できないと書いてある。この手紙は、彼なりの誠意なのか分からないが、いっその事、突然目の前から消えてもらった方がどんなに気が楽だったか・・・ 手紙を読み終えた麻里は最愛の人に裏切られたと言う深い悲しみに耐えられなくなり、死に場所を求めて北へ向かう列車に乗っていた。北国出身の麻里としてはどうせ死ぬなら少しでも故郷に近い方がいいと思ったからからだ。今日が最後の夜になる・・・そう思った麻里は親友や家族に自分の気持ちを書き綴った。いわゆる、遺書だ。書き終わった時、列車は目的地に滑り込んだ。深夜1時47分 日本海近くのこの駅に降りたのは麻里を含め数人だった。改札口に向かう数人の中の一人の青年が麻里に声を掛ける。「大丈夫ですか?」列車の中で泣いてた麻里を見かけた青年が力なく歩いてる麻里を見て声を掛けたのだ。この時の出会いが麻里の運命を変える事を麻里が知るよしもない。粉雪舞う駅を出て駅前のポストに遺書を投函してタクシーに乗った。「一番近い海へ」とだけ告げ粉雪舞う街の景色を目に焼きつけた。 麻里の様子を気にかけてた青年はどうしても麻里の様子が気になり麻里の後を追った。
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