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「くっそぉ!…はぁ」
クロードも諦めて地に貼り付いた。
赤い舌を出し入れし
「さっき見張りについたやつしばらく帰って来そうにない」
ヘビ特有の超音波は狭い範囲なら敵の場所の把握を可能とする。
「逃げるなら今のうちなんだけどね…」
代表してシルヴィアがポツリとこぼした。
それから一分ほど後のことである。
最初に反応したのはクロードだ。
「…狼にしちゃぁでかいな…」
釣られてブリジットも耳をそばだてて
「何かこっちにくる」
敵であればこの状況はマズい。味方なら待ってました、だが。
三人は目を動かして辺りを見回す。
ここは谷の底に位置する盆地の藪の中だ。 見渡しは悪くない。
「いたっあそこ!」
シルヴィアの声に従い、そちらを見ると、岩場を跳び伝い降りてくる大きな白い獣がいた。
「なんだあれ、ライオンか?白いのなんて珍しいけど」
クロードが興味深げに体を動かした。鎖の音がなる。
見覚えある特徴にブリジットは
「…まさかあの時の」
「なんだ?お前知ってんのか?」
「あれっぽいのに一度会ったことあるだけよ」
白獅子が大きな岩の上で立ち止まり、そして、真っ直ぐに三人を見下ろした。
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