国境防衛戦

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『やぁ、捕まってしまったみたいだね』 白獅子は三人の聴覚に直接音を入れた。 震移術、音の振動を相手にワープさせる一種のテレパシーである。 この術を使えるのは高位ランクの術師だ。 『見ればわかるでしょ』 ブリジットも姿が視覚できている相手にならこの術を使える。 術を使えない傍らの二人に会話の内容を教えながら、獅子に対峙した。 『助けてあげようか?』 不思議と違和感はなかった。ブリジットは前に会った時助けられている。 それに、獅子の声は悪魔の誘惑にしては清く、味方にしては他人すぎた。 『…はぁ?何言ってるの。素性もわからない奴に助けてもらう義理はない』 『前に一度助けただろ?』 『あれは突然だった。じゃ問うわ、何で助けてくれるの?』 獅子はしばしの間をおいて答えた。 『さぁ、何でだろう。あえて言うなら、オレが平和主義者だから、だろうか』 ブリジットはその言葉をそっくりそのまま2人に伝えた。 「…だって。どうする?」
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