国境防衛戦

10/23
前へ
/248ページ
次へ
「…だって。どうする?」 「助けてもらえるならありがたくそうしてもらおうぜ」 とクロード。 「…悪い人じゃなさそうなんでしょ?」 シルヴィアが結論をブリジットに促した。 「…不用心だけど…メリットはそれにしかないみたいね」 三人の結論をすぐに獅子に送った。返答は… 『そう。じゃぁ藪の外に少し出れる?』 三人は鎖の間でできるだけ足を動かし(足がないクロードはブリジットが押して)藪から顔をのぞかせた。 『動かないで』 何をするのかと思いきや、体を縛る鎖に振動が走り、ひびが編み目状に入った。 ブリジットは外側へ力を入れて鎖を壊し、身体構造上力を入れられない2人の鎖を代わりに砕いて、彼に礼を言おうとしてあの岩場に目線を移したが… 「あれ…いない?」 何も言わず消えてしまったのであろうか?本当に何を考えているのかわからないやつだ。 そんな愚痴を頭の中で呟きながら人の姿に戻った、その時である。 『この戦い、帝国の勝利だ。君も早く本陣に戻ったほうがいい』 音が飛んできた。獅子の声の。 「何なのよアイツ」 そう呟いても返る答えはない。 三人は全速力で谷を抜け出した。
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加