プロローグ

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あいつは何者だ… ブリジットの意識は獅子にとりつかれていた。 だから自分の真横に現れた刺客の気配に気がつくことができなかった。 寸での所で気がつき踏み込みを入れた時にはすでに遅し、帝国の軍服を着用した兵士の刃が己の頭上で光った。 殺られるっー その答えが脳裏を駆けたその時である。 金色の風が刃の光りを遮った。 聞こえた兵士の悲鳴。過ぎ去った危機。 彼女を救ったのは白い獅子。日光の当たりによって毛並みが金色に輝いている。 助けてくれたということは味方なのか?いや、上官に白い獅子がいるなど聞いたこともないし、ここまで立派なビーストを持つ者が一兵士であるはずがない。 獅子はなんの緊張もない動作でブリジットの方へ向く。 獅子の蒼い瞳が彼女を見すえていた。 「貴様何奴っ」 ブリジットの問いに獅子は薄く笑みを浮かべて返した。 「もうすぐここも戦闘エリアに入る。怪我をしたくなかったら逃げた方がいい」 落ち着いた青年の声だった。ブリジットが次を思案した中、近くで爆音が響く。 確かに撤退した方が良さそうだー ブリジットは獅子の姿を目に焼き付けて撤退した。
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