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二階へと続く階段を昇り、部屋の前に着き部屋のドアを開けアリスを招き入れた。
見慣れた簡素なベットに窓、観葉植物が見える。白を基調とした壁には世界地図が張られ、所々マークが付けられている。
さて……部屋に来たものの、いったい何を話せばいいのやら。
旅ではドルチェに任せきりだったから、久々に料理がしたかったのもあり少しだけ未練がなくもない。
まあ、料理はいつでもできるか。こちらを見ながらずっと笑顔のアリスを見たら自然とそう思えた。
「アリス椅子を出しましょうか?」
「ううん、いいの。一緒にベットに腰掛けようよぉ」
促されるままベットに腰掛ける。すると隣に腰をおろしたアリスは、指を合わせもじもじしながら下を向く。
「あのね……お兄ちゃん……その……ひざ枕を……あぅ……」
ああ、成る程。いつもの事なので、すぐに反応してやる。
「ひざ枕しましょうか?」
相変わらず私が受け入れるまで、こっちが恥ずかしくなるくらい照れてくる。
そろそろ慣れてもいい頃だと思うが、アリスの場合演技ではなく本気で照れるからなぁ。
目を輝かせニッコニコで、何度も頷くアリスを見て胸が温かくなり頬が緩む。
その顔を見て、先程の心残りも綺麗に吹き飛んだ。
「相変わらずアリスは、甘えんぼさんですねぇ。遠慮しなくていいんですよ?」
「うん」
アリスは緊張してるのか、遠慮がちに私の膝に頭を乗せて目を閉じた。
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