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「さて……どれも素晴らしい焼きそばでした。できれば全部出したいのですが、そうもいきません」
祭の焼きそばは素早い回転率も要求される。多くの種類を作るとなると、スペースや仕込み調理と問題が山積みになりかねない。
「では、今回出店する焼きそばは……」
もう皆もある程度は予想出来てそうだが。
「「「焼きそばは?」」」
皆の声が重なり、ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
「マイドさん!!」
「「「なっ!?」」」
「ではなくて……」
そう言った途端、皆の冷たい殺気が突き刺さる。
お兄ちゃんナイスボケだよ!お兄ちゃんがボケならアリスはツッコミの練習するよ!と笑顔なアリスを除いてだが。
「……うぅ……すいません、ちゃんとやりますから」
頭を下げ今度こそはと続ける。
「今回出店する焼きそばは……」
またゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
「ランとドルチェ!二人の焼きそばをだそうと思います。どちらも素晴らしい焼きそばでした、味も甲乙つけがたい……コンテストは三日もあります。一つだけ出すより二つ出した方がいいでしょう」
結果を聞くと皆やっぱりかと言った様子で、反応は様々だが驚いてはいないようだ。
……私のボケで落ち込んで、泣いているマイドさんを除いての話だが。
「まあ、妥当だな」
「そうね~」
「うん、どっちも美味しかったよぉ!」
「いやはや、負けてしまいましたか……自信作だったんですがね……」
「……ツッコミ女と同点ですか……私もまだまだです」
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