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「口の中切ってないか?」
安心するようにそう言いつつ優しく微笑み掛けてやる。
傷はもう大丈夫そうだな……そろそろ俺は用済みだろうしまた屋台回るとするか。
少女はなぜかぼーっとしたままこちらを見つめ返事をしない。心なしか顔が赤い気がする。
「…………」
ん?なんだ?
ぴくりとも動かないので顔の前で手を振ってやるとランは小さく呟いた。
「…………好き」
「は?」
いきなりな台詞に目をぱちくりさせてなんかの冗談かと思っていると、ランは遠慮がちにゆっくりと抱き着いてきた。
「はあぁぁ!?」
いきなりの展開に驚き思わず引き剥がそうとするが、女の子に強引にする訳にもいかずあまり力を入れれず離せない。
困り果て、ヒロに助けを求め視線を向ける。
……なんとかしてくれ。
「男爵お前凄いなぁ……ランを泣き止ませるなんて……しかも人見知りのランに一目惚れされるとは」
ヒロは一人感心しながら頷いていて全く助けを寄越そうとしない。
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