お祭り男爵とお祭り女王のお話(前)

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役立たず……くっ……どうしろと? 慣れない状況に戸惑う。ヒロは当てに出来なさそうなので自力でなんとかしようと少女に声を掛けてみた。 「なあラン……ヒロの手の怪我が酷くてさ。早く帰って治療しなきゃいけないんだ……だからランも帰らなきゃ」 ランは一度俺から離れてまた瞳を潤ませ始める。 そして地面にバタンと豪快な音を立てつつ、綺麗に受身を取って仰向けに寝転がり手足を地面に打ち付けながらバタバタ音を立てつつ叫ぶ。 「ふえぇぇぇん!!嫌やーー!!うちぃ……まだ輪投げとか射的とか金魚すくいしてへんもぉん!!男爵とまだ一緒に居るもぉん!!」 駄々っ子よろしく泣き叫ぶ。何事かと周囲の視線が突き刺さるのが大変痛い。 「ヒロ……どうすんだこれ……」 あまりの事態に対処できず額に汗が浮かぶ。親とかって大変なんだな……と思いつつ汗を拭った十歳の夏…… 「こうなったら説得は無理だな……なんせアイツはお祭り女王だし祭に関しては妥協しないからな」 慣れているのか早くも諦めの境地に達し溜め息をつくヒロ。
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