お祭り男爵とお祭り女王のお話(前)

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「お祭り女王?この泣き虫が!?」 全く予想をしてなかった人物との遭遇に、思わず声が大きくなる。 もっとこう……ホーホッホホ!わたくしの華麗なるヨーヨー捌きに酔いしれて御覧あそばせぇ! ……とか高笑いする訳分からない奴が、お祭り女王なのかと思ってたんだが。 「ああ、知ってるのか?」 ヒロは俺が知っているとは思ってなかったのか、不思議そうな顔をした。 「まあ……噂を聞いて見つけたら勝負しようかと思ってたんだけど」 こんな泣き虫がお祭り女王?本気でか。 ヒロはこちらの言葉を聞いて何か思い付いたのか、意地悪そうな顔で口を開く。 「男爵、俺怪我の治療してくるからその間ランを見ててくれないか?」 有り得ない、いきなりな提案に驚愕に目が見開く。 「はぁ!?こんな厄介な奴と!?てか初対面の奴に頼むか普通!?」 なんとか回避しようとして、正論をぶつけてみた。 「大丈夫!ランは昔から人見知りだが、その分人を見分ける目は敏感で人一倍あるんだよ。ランが男に惚れるなんて有り得ない事なんだぞ」 頼む!と手を合わせるヒロ。右手が痛いのを忘れたのか合わせた後、痛みに苦悶の表情を浮かべた。 そんなヒロを見て思わず苦笑する。
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