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……バカな奴だな。数え切れない程の人を殺してる俺がいい奴な訳ないだろ……けど……な……
「仕方ないなぁ……早く帰ってこいよ?」
ヒロの言葉やランの好意は嫌ではなく、くすぐったいが嬉しい。
口が裂けても言わないけどな……
仕方ないなぁと思いつつ表情をまんざらでもないかな……と思ったりした。
「ふぇぇぇん!!ありがとぉぉ男爵ぅぅぅ!!」
後ろから聞こえた声に振り返るとランがバッファローの如し勢いで抱きついてきた。
「ギャーーー!!止めろぉぉぉ!!また涙と鼻水が浴衣にぃぃぃ!!」
金魚屋に続き本日二回目になる熱い抱擁に慌てて叫ぶ。
「ハハハ!じゃあランは任せたぞ男爵!ラン、なるべく早く帰ってくるからな」
こちらを見て安心したように笑い、そう言い残しヒロは左手を挙げ走り去って行った。
「離れろぉぉぉ!!」
ランはヒロに気付かない様子でそのまま熱戦を繰り広げる。
「うわぁぁぁん!!嫌やぁぁぁぁ!!嫌わんとってぇぇぇ!!」
泣き叫び周囲の視線を欲しいままにするラン。
「嫌ってないから離れろぉぉぉ!!」
「じゃあラン大好き言うてぇぇぇ!!」
この二人の見苦しいやり取りは周りの野次馬達が注目する中十分程続いた。
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