お祭り男爵とお祭り女王のお話(前)

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麺が油でべったりねっちょりとして伸びきっていてヘラで切り過ぎてベビースターラーメンの如く細かくなり過ぎている、しかもソースをけちったのか味が薄く油がさらに引き立ち、まるで味覚を壊さんとばかりに踊り狂うかのようだ。 つまり…… 「……本気でマズイ」 あまりのまずさのためか顔をしかめ焼きそばを強引に飲みこんだ。飲み物欲しい…… ここまでマズイとなんだか笑えてくるな……どうやったらこんなにまずくできるんだろ…… 一応俺も一人暮らしというか、サバイバル生活してたから簡単な料理ならできる。焼きそばくらいなら俺でもこれよりは全然マシなの作れるぞ…… そんな予想通りの姿を見たランはほら見ろとばかりの満面の笑みで言う。 「うちの言う通りやろ?」 ほとんどない胸を堂々と張り、なんだか自信満々の様子である。どう?どう?と視線が答えを待ってますとアピールしているかのようだ。 なぜだろう……なぜか微妙に悔しいんだけど…… 「確かにな……けどいくらマズくてもマズイって言ったら誰だって怒るから気をつけろよ?」 「うん!」
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