お祭り男爵とお祭り女王のお話(前)

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結局ランは俺の腕から離れず、ぴったりと寄り添い祭を回ることになった。 どの店に行くのか辺りを見回しているとある店を見て指を差す。うん、面白そうだよな。 俺が指差した店は射的屋だ。色々な種類の景品が並んでいる。中々の品揃えだ。 「ラン射的やるか?」 「うん!やるぅ!」 射的は簡単に説明するとゴムで金属製の二センチ程度の丸い玉を飛ばして景品を倒したら貰えるというわけである。 「おっちゃん!二回分やらして!」 ハッピを着た威勢のいいおやじが答える。 「はい毎度!一回で玉三発だよ!さあ、頑張りな!」 お金を渡して玉とゴムを貰った。今だに俺の腕にしがみつきホクホク笑顔のランに声を掛ける。 「ラン、俺からやるから……いい加減離れてくれないか?」 「むうぅ……」 ランはかなり不満気な様子ではあったが、渋々頷き俺からゆっくりと離れた。 しかし、この射的もよく出来てるよなぁ。 ゴムは自分の腕の分までしか伸ばせないわけだから、威力も制限される。 俺の場合は手で投げた方が威力が段違いなんだけど。まあ、ゲームだからちゃんとゴム使わなきゃだけどな。
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