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三連射した玉は、狙った箇所に数ミリの誤差で時間差で命中し的を倒した。
「お見事!!」
見事に景品が倒れたのを確認し、小さな太鼓を鳴らしながら射的屋の親父が高らかに叫ぶ。
さすが俺……
一人悦に浸り景品を懐にしまっているとランから声が掛かる。
「……男爵ぅ……あれクマちゃんやなくて本やけど?全然違う方向にあったんやけどぉ……」
「テガスベッタヨハハハ」
俺の棒読みの白々しい台詞に冷たい視線が突き刺さる。
「三発ともぉ……?」
さすがにわざとらし過ぎたのか、ランはじとっと追求の目を向けた。
うあ……面倒だな。どうしようか。よし!
「さあ!次はランの番だ!カッコイイ所みたら惚れるかもな」
そう言うとラン目がくわっと開いて瞳にやる気の炎がメラメラと燃え盛った。
「男爵!しっかり見ててやぁ!」
……単純で良かった。
さて、お祭り女王の腕前は如何な物だろうか。うん、楽しみだな。……フフ。
腕を組みランの行動に注目した。
「男爵……やっぱそんなに見つめられるとうちぃ……」
ぽっと顔を赤くしもじもじとしだしたラン。俺の顔が徐々に引き攣る。
「あーもう!気にすんな!」
ランに感化されたのか顔が熱くなる。
「はーい、見ててぇ」
なぜか嬉しそうな顔になり手を振るラン。
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