お祭り男爵とお祭り女王のお話(前)

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「けどうち射的苦手なんよなぁ……クマちゃんは無理や……違うの狙お」 ランはクッキーの入った縦にこちらに面積が狭い面を立ててある箱を見据え、ゴムを引き絞り玉を飛ばした。 あー……ちょっと横過ぎるな……これは外れ……ん!? なんとランが放った玉は右方向に弧を描き曲がり、箱の側面から当たり見事に倒した。 「当た~り~!!」 またもや射的屋のおやじの声と太鼓の音が響く。 「必殺ランちゃんシュート決まりや!」 ランはこちらに向かって得意げな笑顔でブイサインをしてきた。 「ランちゃんシュート?どうやって曲げたんだ!?」 お祭り女王の無駄に高度な技術に驚いた。 「ただ打つ瞬間指でシュート回転かけただけやぁ」 簡単に言うなぁ……さすがお祭り女王の名はだてじゃないってか……後で教えて貰おう。 「よし!調子ええわぁ……やっぱりクマちゃん狙うぅ」 ランちゃんシュートが炸裂しクマに見事命中。しかし……少し傾いただけだった。 「まだや!ランちゃんカーブ!」 放れた玉は左上から右斜め下に向かって曲がり直撃した。 しかしクマは少ししか動かない。 「くっ!!無理やぁ……」 んーけど、おかしいな……あそこまで動かないのは……
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