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なにかないか……?射的場を見ると景品に絆創膏があった。
お、あれでなんとか……
「おっちゃん!玉返すからそこの絆創膏ちょうだい?またさっきのやると危ないだろ?」
さっき打ち抜いた玉はクマの直線上にある後ろの木に穴を開けめり込んで埋まっていた。
おやじはコクコクと頷き絆創膏をくれた。
「ランぬいぐるみ貸せ」
そう言って有無を言わさず取り上げ、クマに絆創膏を貼ってやる。
怪我の治療は慣れてるせいか手際がいい。
「ほら!これで大丈夫だ!」
ランは安心したかのように表情を緩め、クマをぎゅーっと抱きしめる。
「クマちゃん!!もう大丈夫だよぉ……ひっく……ぐすっ」
本当泣き過ぎな女だな……表情もころころ変わるし……フフ、見て飽きないけどな。
「じゃあ、次いくぞ!!」
拳を振り上げいざゆかんと歩き出す。
「うん!!」
それから二人でまた金魚すくいの金魚を全部すくいあげてはまたおっちゃんを泣かして金魚だけ返し、ヨーヨーも一回で全部すくいあげては返し、輪投げ、カタヌキ……全ての出店で武勇伝を作り上げ、お祭りカップルとして有名になっていった。
「ふぅ……面白かったなぁ。やるなお前、さすがお祭り女王と呼ばれてるだけあるな」
「男爵も凄いわぁ」
二人は顔を見合わせぱんとハイタッチして笑い合った。
「さて、喉が渇いたから何か飲み物買ってくるから待ってろ」
「うん!うちオレンジジュース!!はよ帰ってきたら口移しで飲ましたるわぁ」
「……ゆっくり行って来る」
少し顔が熱くなるのを感じつつ歩を緩めとぼとぼと歩いて行った。
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