72329人が本棚に入れています
本棚に追加
/1092ページ
「すいませーん、お茶とオレンジジュース」
氷水に入った冷え冷えのジュースを、店主のおばちゃんが探しだして取り出した。
「はいよ!」
「ありがとう」
人の良さそうな店屋のおばちゃんにお金を払い、ジュースを受け取る。
それにしても喉が渇いたな。柄にもなくはしゃぎ過ぎた。
冷んやりとしたジュースを頬に当て、熱気を冷ましつつランの元へ戻る。
しかし元の場所にランはいなかった。
ん?ランの奴一体どこに……あれ?あいつにやったひょっとこのお面が落ちてる。
どこか不自然に感じながらも、ひょっとこのお面を拾い上げる。すると、その下に手紙が置いてあった。
手紙?ランの悪戯か?全くあいつは……
呆れつつも頬を緩め手紙を読むと、こう書いてあった。
『お祭り男爵へ。
女は預かった。返して欲しければ神社の裏の林まで来い』
手紙を読んだ瞬間、感情に任せてくしゃっと握り潰していた。
この俺に気付かせなないで、この短時間でランをさらっただと……!?
今この場で俺に恨みを持つ人物は、さっきぶちのめした焼きそば屋くらいか?一応極秘任務だし、俺が祭に来てるなんてそうは知られてないはずだ。
戦争が近いのに最大の戦力である俺を、エスラの奴が殺そうとするメリットは少ない。しかし、焼きそば屋じゃあ無理だ……きっと仲間が何人かいるな。
しかも俺に気配を気付かせない程の強い奴が、少なくても一人はいる。
わざわざ神社の裏の林なんて選んだのは、ここで手を出せば騒ぎが大きくなることをやる……
まあ……九割方殺る気だろうなぁ。所詮俺は最近各地に現れたよそ者だし。
ランが誘われたのに騒ぎになってないのは、暗黙の了解で口止めされてるんだろうか。ここらで暴れている犯罪グループかなんかか……
あんなザコにそんなバックがいるとは、思えなかったけど。
困った……俺はこの辺りに詳しくないから情報が少な過ぎる。
その時タイミングよく、こちらに声を掛ける者がいた。
最初のコメントを投稿しよう!