お祭り男爵とお祭り女王のお話(後)

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「すいませーん、お茶とオレンジジュース」 氷水に入った冷え冷えのジュースを、店主のおばちゃんが探しだして取り出した。 「はいよ!」 「ありがとう」 人の良さそうな店屋のおばちゃんにお金を払い、ジュースを受け取る。 それにしても喉が渇いたな。柄にもなくはしゃぎ過ぎた。 冷んやりとしたジュースを頬に当て、熱気を冷ましつつランの元へ戻る。 しかし元の場所にランはいなかった。 ん?ランの奴一体どこに……あれ?あいつにやったひょっとこのお面が落ちてる。 どこか不自然に感じながらも、ひょっとこのお面を拾い上げる。すると、その下に手紙が置いてあった。 手紙?ランの悪戯か?全くあいつは…… 呆れつつも頬を緩め手紙を読むと、こう書いてあった。 『お祭り男爵へ。 女は預かった。返して欲しければ神社の裏の林まで来い』 手紙を読んだ瞬間、感情に任せてくしゃっと握り潰していた。 この俺に気付かせなないで、この短時間でランをさらっただと……!? 今この場で俺に恨みを持つ人物は、さっきぶちのめした焼きそば屋くらいか?一応極秘任務だし、俺が祭に来てるなんてそうは知られてないはずだ。 戦争が近いのに最大の戦力である俺を、エスラの奴が殺そうとするメリットは少ない。しかし、焼きそば屋じゃあ無理だ……きっと仲間が何人かいるな。 しかも俺に気配を気付かせない程の強い奴が、少なくても一人はいる。 わざわざ神社の裏の林なんて選んだのは、ここで手を出せば騒ぎが大きくなることをやる…… まあ……九割方殺る気だろうなぁ。所詮俺は最近各地に現れたよそ者だし。 ランが誘われたのに騒ぎになってないのは、暗黙の了解で口止めされてるんだろうか。ここらで暴れている犯罪グループかなんかか…… あんなザコにそんなバックがいるとは、思えなかったけど。 困った……俺はこの辺りに詳しくないから情報が少な過ぎる。 その時タイミングよく、こちらに声を掛ける者がいた。
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