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『うちなぁ……料理得意やねん……あ!ここは覚えといてや、未来の旦那さまやもんな!』
『ふぇぇぇん……男爵ぅぅ……嫌いにならんとってぇぇぇ……ぅぅ……』
『男爵愛しとるぅぅぅ!!今から神社で式あげよぉぉ!!』
『男爵ぅ!あのクマちゃんのぬいぐるみ取ってぇぇ!』
『うち料理得意言うたやん!こんな焼きそばなんて目じゃないもん!……そうや!今度会ったら食べさせたるわぁ』
『うん!約束やぁ!大陸一美味しい焼きそば作るもん!』
ランのバカみたいに天真爛漫な満面の笑顔……こっちまで吊られて頬が緩む笑顔……漫画の様な泣きじゃくり顔……呆れる程真っ直ぐな感情表現……
誘拐か、怖いよな……きっとボロボロ泣いているんだろな。
あいつバカみたいに単純だから俺が助けに来るって信じてるんだろな。今日会ったばかりのエスラの赤い悪魔なんかを……
感情が爆発し地面を左手で思いきり殴りつけた。皮膚が裂け血が溢れ出す。
馬鹿か俺は!全てを守る為に強くなったんだろうが!目の前の女一人助けれなくてどうする!!
痛みで頭が冷静になり、ぼたぼたと地面に落ちる血ももそのままに、ヒロに言う。
「最後の一つは今から神社裏に乗り込んで全員ぶちのめす!……ただし俺一人じゃ全員倒せてもランを助けるのまでは無理だ。……ヒロ、命かけれるか?」
俺の真剣な声と表情から、けして脅しや冗談ではないことをヒロは悟ったのか、顔を青くしながらも真剣な表情で答える。
「やるよ!ランは大切な妹みたいなやつだ!俺に出来ることあるならなんでも言ってくれ!右手も僧侶の回復魔術で完治したから!」
ヒロの人の良さと度胸に感心し、自然と笑みが浮かんできた。
ただの戦いも経験したことのない、俺と大して年のも変わらない普通の男がこんなに度胸があるなんて。
俺の部下に加えたいくらいだよ……本当。
さて、正攻法じゃあランを助けるのは無理だ。何か策を練らないとな。
「よし!じゃあちょっと屋台回って武器になりそうなもの手に入れてくるぞ!」
「ああ!」
二人は屋台で必要な物を探し回り始めた。
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