お祭り男爵とお祭り女王のお話(後)

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「ヒロ、準備はできた。行くぞ!」 「……ああ」 二人は指定された、焼きそば屋達がいるはずの神社裏の林に向かい歩き出した。 神社の裏は木が生い茂り、視界を塞ぎ滅多に人も来ない為に何かがあっても外の人が気付かない場合が多い。 逆に言えば向こうにも気付かれないわけであり、木の後ろに隠れて探ることが可能だ。 なんせ相手は子供相手だし油断しているだろうしな。 俺とヒロは木の後ろに隠れながら足音に気をつけ近付いて行った。 すると段々と誰かの話し声が聞こえてきた。 「いやぁ……ゲロさんすいません付き合わせちゃいまして」 ……焼きそば屋の声だな。やっぱりあいつが!! 「ゲログルガがだ!略すな!燃やし尽くされたいのか?」 「すみません!ゲログルガさん!!」 ……やっぱりゲログルガはいるか。モスカファミリーで確定だな……呼びにくいからゲロちゃんでいいや。 燃やし尽くすということは炎の魔術が得意なのか?フフ、こんなに簡単に情報を与えてくれるとはな。 「しかし、子供相手だっただとはな……情けないやつだなお前は……強いやつが相手だと思ってお前の頼む通りに人質まで取ってしまったではないか」 ゲロちゃんの呆れたようなが聞こえる。 「すいません!妙に強いガキで……それにしてもこれくらいの子供って萌えませんか?へへへへへ」 ロリコンだったのかぁぁ!!あんの焼きそば屋あああああ!? 「んー!!んー!!」 これは……ランか?くぐもった声だな……口を押さえられてるか、布かなんかで縛られてるのか? また泣いてんのかな……待ってろよ。 「「「変態かお前は!!」」」 声からして恐らく全員で四人だろう。ただし、口を閉ざした人物や一時的にこの場を離れている人物がいなければだが。 「しかし……来るのか?ガキなんだろ?まあ、来なければ誘拐に変更して身代金狙うか」 それはいいと男達は笑い合う。明らかに犯罪を行う事に手慣れていて、罪悪感も感じているように思えない。
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